あふれる笑顔
「わぁ!!うさぎ!
圭ちゃん、うさぎがいる。」

桟橋で船を降りると直ぐに、沢山のうさぎが出迎えてくれた。

黒にブチ、真っ白に茶色と

様々なうさぎがいる。

俺のイメージのうさぎは

白くて赤い目をしている子供がよく絵に描くものだから

ちょっと驚いた。

「あれもうさぎだよな?」

形はどう見てもうさぎだが

思わずそう聞きたくなる程の容姿のうさぎは………

目の周りや体のあちこちが黒く、まるでパンダのように見える。

俺の質問に

「そりゃそうでしょう!
まさか圭ちゃん、パンダだと思った?!」と。

クソッ。

咲にからかわれるとは……。

まだ可笑しいらしい咲は、ささに借りたカメラを片手に

「圭ちゃん、もっと右。
こっち向いて~」と笑いながら

俺とパンダうさぎを、写真におさめようとしている。

「いいから。」

ムッと拗ねても

「いいから、いいから!!」と強引に写し

「早速、思いでが出来たぁ!」と嬉しそうにしている。

まぁ、咲が楽しいならいいか。

確かに、咲には甘いと思う。

年の差や同情も、ないではないが………

単純に咲の笑顔が見たいんだと思う。

少し前を歩いていた咲は

しゃがみこんで真っ白いうさぎを眺めている。

隣には、2歳くらいの男の子が同じくしゃがみ

笑いながら仲良さそうに話していた。

あんな姿を見ると

『幼稚園の先生なんだよなぁ~』と不思議な思いがする。
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