あふれる笑顔
「咲。
自転車を止めて、上に上がってみよう。」

展望台に上がる階段下で声をかけ

二人になれそうな所を誘った。

緩やかな階段だが………

わざわざ自転車を止めて上がる人はいないらしく

俺の読み通り二人っきりになれた。

咲をベンチに誘う。

「恋人みたいだね。」

とんちんかんな感想を言う咲を見つめると

「ふだんの圭ちゃんは
お父さんでお兄ちゃんで……………
年の差があるから仕方ないけど…………
保護者の面があるでしょう。
甘えるのは私で………
圭ちゃんは黙って聞いてくれる。
頼りにしてるし、安心出来るから
圭ちゃんといられて幸せなんだけど………
自分ばかりが圭ちゃんに、負担をかけてるような気がしてたんだ。
エッチな事もね………………。
だから笹兄に相談して
今回『旅行に行きたい』って誘ったの。
笹兄には『無理してないか?』って心配されたけど……
全く無理はしてないよ!
ここに来て『恋人みたいだな。』って感じれて…………
間違いじゃなかったなって、確信したの。
マンションを出てから今まで
知らなかった圭ちゃんの表情をいっぱい見れて……………安心した。」

イキイキ話す咲を見て、本心だと分かった。

だったら俺も正直に話そう。

お互いの気持ちを分かり合って…………次に進みたい。
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