あふれる笑顔
ささの言葉は、心に刺さった。

俺は……………

咲の何を見てきたんだ?

咲は無理してた………………。

考えてもいない言葉だった。

………………………………。

呆然とする俺に

「咲…………。
兄貴の事がホントに好きだよ。
ただ、ホントに何も知らないんだ。
俺も家族に縁は薄いけど………
母親が生きてた時の記憶はある。
大切にされた思い出も…………。
引き取られてからは
おばさんの苦しみは理解出来たし、兄貴がいた。
洋介と出会って、仲間も増えて
俺は………それなりに幸せだったんだ。
けど………
咲には、家族の愛情も恋も信頼出来る友達も………
何もなかった。
幼稚園の先生なんてやってるけど
アイツが幼稚園の園児なんだよな。
アイツ……………兄貴に見捨てられないか………不安なんだよ。
やっと見つけた幸せだから
大事で………不安なんだと思う。
……………………俺もそうだったから。
久しぶりに兄貴って、呼んだな。
圭哉って呼べる自分が、自立出来た証だって思ってたから。
けど……咲が来て…………
兄貴が変わらず兄貴でいてくれるから
俺は『圭哉』って呼んで………
安心して立っていられるんだって分かったんだ。
咲も…………兄貴と一緒に居たら大丈夫だと思う。
だから、話しを聞いてやって。」
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