あふれる笑顔
ギィー。

カウベルも鳴らないくらい…………そっとドアが開く。

「……………………………圭ちゃん。」

「咲。」

顔を見せてくれてホッとした。

泣いてないか…………。

「咲。
明日のデートはキャンセルな。
兄貴、俺が店をする。」

短い言葉の中に

俺が何をしたらいいのか、答えが含まれる。

「サンキュウ。」

今回は、心から言えた。

「帰るか。」

咲の手を引くと、すんなりついてきた。

「もう、離すなよ。」

どちらにとも取れる言葉で見送るささに手を上げて

店を後にした。
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