あふれる笑顔
素直に、俺は言葉を紡いだ。

年の差が邪魔をして

守る、支える……ばかりが頭を占めていたけれど………

好きになった女と一緒に居たいと………

シンプルな感情で、結婚を考えたんだよな。

抱きしめた咲は……

声を出すこともなく、静かに俺の言葉に耳を傾けていた。

左手をそっと持ち上げると目線だけ向けて

その後、自分から手を差し出した。

嵌めても良いという合図。

「咲…………愛してる。」

そっと薬指の付け根にキスをして

指輪を嵌めた。

「子供でごめんね。」

泣き笑いの顔をした咲の目から

溜まっていた涙が一粒落ちた。

唇で掬うと、そのまま唇にキスをする。

「俺だって子供だ。
好きな人の前では、大人にだって子供にだってなる。
咲が欲しいと騒いで……結婚を強引に決める程な。
だから咲も言いたいこと………
言っていいぞ。
ワガママだろうと、文句だろうとなんだって言ってみろ。
聞いてやるよ。
ケンカだってしよう。
そのかわり…………俺の前でな。
ささに頼られたら………俺はヤキモチ妬く!」

俺の言葉に、キョトンとして…………

プッと吹き出した。

「ヤキモチを妬くの?」

当たり前!

俺の不機嫌は、全てささへのヤキモチだ。
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