あふれる笑顔
要するに

咲が洋介と行くのは、俺の管理下。

でも、俺が誰か知らない奴と行くのは………ヤキモチを妬くって。

ホントはかなり気分が上がったけど

もうちょっと苛めたくなった。

余談だが

洋介もささも、ポンポンと返す咲が

結構気に入ってる。

ささに至っては

俺と同じ名前を名のっていた頃は家柄。

名前を母方に戻してからは、顔で寄って来る女ばかりだったから

ツンツンなのに心を許す咲が可愛くて仕方ない。

気の強い咲には、子供をからかう叔父の気分なのだ。

「だったら、咲の知ってる子だったら良いか?
例えば…………琳ちゃんとか。」

琳ちゃんとは、この春からたんぽぽ幼稚園に勤める女の子だ。

3月の実習の時、自分の担当になり

嬉しそうに紹介してくれた。

「……………………………ダメ。」

みるみる瞳に涙が溜まる。

からかい過ぎたか?

近寄って抱き寄せると

ギュッと力を入れて抱きつく。

「泣くな。
嘘に決まってるだろう。」

苦笑いを向けると

「嘘でも嫌だ………。
圭ちゃんが他の人と同じ時間を過ごすって………
想像するだけで悲しくなる。
圭ちゃんはずっと…………咲の側に居てくれるんでしょう…………。」

そう言うとポロポロ涙が溢れる。

「ごめん。
からかいが過ぎた。」
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