あふれる笑顔
「だったら、彰人で良いんだな?」

ささは、笹山彰人という。

一時期は、俺と同じ仁科彰人だった時もある。

「咲…………彰兄って呼べるかなぁ?
間違えて『笹兄』って呼びそう。」

そう言って可笑しそうに笑っている。

こう言うって事は…………

覚悟が決まってるんだろう。

「分かった。
彰人、ヨロシクな。」

俺の言葉に

「圭兄。
咲を幸せにしような。」と。

正直、彰人の咲に対する思いは複雑だが………

例え彰人といえど、譲ることはできない。

…………彰人が咲を、どう思っているかは分からないけど。

それに

彰人も俺には、大切な家族だ。

「おう!
彰人も幸せになろうな。」

俺の言葉に

「くっさぁ~!」と照れくさそうに笑ったが

その笑顔が幸せそうだった。

「彰人も店を畳むなら………
俺達の仕事も畳むかぁ!
そろそろパン屋の兄ちゃんに力を入れないと
彩を養えないしなぁ。」

洋介の会話に口を挟むように

「悪い、洋介。」と声をかける。
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