身ごもり政略結婚
「俺も結衣と一緒に昼寝しようかな」
「えっ?」
「たまにはいいだろ?」
ひとりのときは、少しでも時間があれば仕事のことを考えていた。
でも、今は結衣のことを考えていたい。
俺が隣に潜り込むと、彼女は恥ずかしそうにはにかんでいる。
その様子がかわいくてたまらず、気がつけば結衣を抱きしめていた。
けれども、こんなことをしたのが初めてだからか、彼女の体が硬直している。
もう何度も抱いたのに、まだ彼女の心は溶けていないと知った。
いや、この先ずっとそうかもしれない。
大切な千歳のために自分の人生を犠牲にした彼女は、俺に嫌悪感を抱いている可能性もある。
しかし、病院で俺がそばにいると安心すると言っていたのはなんだろう。
結衣のお母さんは亡くなっていて、頼れる人がいないから?