身ごもり政略結婚
つわりがひどいときは、眠ることすらままならない。
何度も嘔吐を繰り返して疲れきり、涙を流しながら眠るなんてことも数回あった。
俺はしばらく結衣の寝顔を盗み見ていた。
倒れたときよりはましだとはいえ、こけてしまった頬。
唇は青白く、とても健康には見えない。
なにをしてやれる?
俺もお腹の子の親だというのに、彼女が苦しんでいるのを見ていることしかできないなんて申し訳ないし、もどかしくてたまらない。
「そばに……」
彼女はそばにいてほしいと漏らした。
それでいいならいくらでもする。
でも、それだけではきっと足りない。
そもそも、俺のほうが子供を求めた。
それは、両親から早く後継ぎをとせっつかれていたせいだ。
けれど、結衣はどうだったんだろう。まだ欲しくなかったかもしれないし、こんなにつらい思いをしてまで産みたくないかもしれない。