身ごもり政略結婚
不安と決意
あっという間に妊娠四カ月。

検診では赤ちゃんに異常は見られず、ホッとした。

赤ちゃんのサイズは六から七センチとまだまだ小さいけれど、もう心臓や胃、消化器官などが完成する時期らしい。


エコーの3D写真を見せてもらったら、手も足も見えて感動のひと言だった。


「つわりは随分軽くなってきたわね。あとひと月くらいの我慢かも。できるだけ体を休めて無理しないで。次の検診で赤ちゃんの性別がわかるかもしれないわよ」


南雲先生に笑顔でそう告げられたけれど、私は顔がこわばった。

性別なんて知りたくない。
私と大雅さんの赤ちゃんというだけじゃダメ?


「結衣、遅くなってごめん」


大雅さんはその日、二十三時を回った頃に帰ってきた。
大阪まで出張していたのだ。

以前なら泊まりで行っていたけれど、今は私を気遣って無理してでも帰ってきてくれる。

それがうれしいのに、今日は笑顔が引きつった。

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