身ごもり政略結婚

「結衣が葛まんじゅうもはさみ菊も提案したんだろ? それに、今頑張るのはこの子を育てることだ。千歳には俺が行って様子を見てくる。なんとしてもはさみ菊を作ってもらえるように頼んでくるよ」

「……はい」


私はいろいろな思いを呑み込み、うなずいた。

彼の言う通り、自分がやりたいことなんて後回しにすべきだ。
私の感情より、今はこの子が元気に育つことだけ考えなくては。


なんだかいろいろ考えすぎて頭の中がぐちゃぐちゃだ。

こんなときは仕事に没頭できれば忘れられるかもしれないのにそれすらできないことに、正直落胆していた。



翌日はつわりも多少治まっていた。

天気がいいせいもあるかもしれないし、アルカンシエルの話を聞いて新作を作らなければと気持ちが張っているせいもあるのかも。


大雅さんを見送ったあと、元気なうちにと簡単に掃除をしてから、スケッチブックを手にした。

すると、メッセージが入ってスマホを手にする。
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