身ごもり政略結婚
「よかった、です。それじゃあ、アルカンシエルの商談のときも持っていけますね」
「ちょうど定休日の翌日だから、前日に作ってくださるそうだ。それと葛まんじゅうもうまかった。いくつかいただいてきたけど、食べられる?」
彼は笑みを浮かべて私に懐かしい千歳の箱を差し出してくる。
今はムカつきも治まっているので食べられるような気もしたけれど、私は首を横に振った。
「ごめんなさい。あとでいただきます」
「うん、無理しなくていい」
彼はそう言ってくれたが、私は妙な焦りを感じていた。
夕食はまだデリバリーで。
といっても、本格的なイタリア料理店からの配達だ。
今日は私が食べられそうだということで、パスタにしてもらった。
トマトをベースにしたバスタは、最近よく注文している。
鉄分補給にいいほうれん草も入っているからだ。
「少しずつ食べられるようになってきたね」