身ごもり政略結婚
「つわりが治まったから、そろそろ手伝えるかも」
「よかったな。だけど、パートさんが頑張ってくれてるから、結衣は休みなさい」
「でも……」
「あのあと、須藤くんから電話をもらって。つわりでボロボロになるまで体を酷使したから、休ませてやってほしいって。誰かが止めないと、結衣は走り続けてしまうと言ってたぞ」
あのあとって、父に弱音を吐いたあの日のあと?
大雅さんが連絡していたなんて知らなかった。
春川さんがいるからか父はくわしくは語らないが、きっと大雅さんは私を追い詰めてしまったと改めて謝罪したのではないだろうか。
彼はそういう人だ。
それに、彼の言う通りかもしれない。
私の性格からして、こうして止められなければ、今まで以上に頑張ったような気もする。
お腹に大切な命があるのだから、無理は禁物だ。
この子を無事に産むこと以上に大切なことなんてない。
私はそう思いなおした。