身ごもり政略結婚

「はははっ。それじゃあ結衣は?」

「私も昔聞いたんですけど、よい縁を結べるようにと〝結〟の字が使いたかったと言ってました。そのおかげか、お友達は皆いい人ばかりでした。もちろん、大雅さんも」


この名前の通り、よい縁が転がり込んできた。

最初は強引でメチャクチャな結婚だと反発したけれど、大雅さんとの縁は間違っていなかった。


「俺も入れてくれるの?」
「もちろんです。大雅さんがいなかったら、この子はいないんですから」


私がお腹を見て話すと、彼は優しく微笑んだ。


「この子にもなにか願いを込めて名付けてやりたいな」

「そうですね。名前通りに育たなくても、パパとママが一産懸命考えたんだよって伝わるような」
「うん」


大雅さんとこうして未来の話をしているのが楽しい。

きっと出産も子育ても、苦しい時間があるだろう。
けれど彼とならきっと乗り越えていける。
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