身ごもり政略結婚
布団の中で悶えていると、「どっち?」と彼が私の足をさすりだす。
「右のふくらはぎ……」
そう伝えると、彼は常夜灯をつけたあと足先を持ってほぐしてくれた。
この時期によく足がつるのは、赤ちゃんが大きくなるにつれて下半身に負担がかかり血流が悪くなることや、赤ちゃんに優先的に栄養が送られてミネラル不足になることが原因だとか。
赤ちゃんのためだから仕方ない。
仕方ないけど、これが痛い!
「あぁっ」
「ごめん。ゆっくりマッサージするから」
大雅さんが謝ることじゃないのに。
「大雅さんは寝ててください」
「結衣が苦しんでるのに?」
「だって会社……」
私は昼寝できるけど彼はそうもいかない。
「大丈夫だよ」
彼は私を安心させるかのようににっこり微笑み、ふくらはぎのマッサージも始める。
すると悲鳴を上げるほど痛かったのに、徐々に治まってきた。
「もう平気です」
「よかった」
照明を消した彼は私の隣に寝そべって、腕枕をする。