身ごもり政略結婚

「眠れなくなっただろ?」
「……はい」


最近は眠りが浅い。
足がつるだけでなく、胎動が激しくなってきて気になるのもあるし、ムカムカするのも。
そしてなんとなく息苦しい。

これらすべて妊娠後期にはよく起こることらしく、改めて命を育むということの大変さを思い知っているところだ。


「それじゃあ、話をしよう」
「でも――」


私が口を開くと、彼は私の唇に指を置いて止める。


「赤ちゃんを産むのは結衣にしかできないけど、俺にできることは全部したい。結衣だけに頑張らせないぞ」
「はい」


私は大雅さんの優しさに甘えることにした。


「そういえば、名前考えた?」
「少し。大雅さんは?」
「俺も。結衣の教えてよ」


自分の考えを話すのはなんだか照れくさいけれど、私は話し始めた。


「私は男の子の名前を考えたんです。煌めくという字と大雅さんの〝大〟という字を合わせて〝煌大(こうだい)〟ってどうかなと。光り輝く人生を歩み、広い心を持った子になりますようにって」
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