身ごもり政略結婚
「先生に診てもらいましょうね。陣痛はありますか?」
「少し張りがあるような」
でもこれが陣痛なのかよくわからない。
「わかりました。大丈夫よ」
お産のプロがいる場所に来たからか、肩の力が少し抜けた。
それからすぐに南雲先生に診てもらうと、子宮口が一センチ開いていると告げられる。
しかし出産まではまだまだらしい。
と言ってもこれも個人差が大きく、数時間で出産に至る人もいれば、何日もかかる人もいる。
「赤ちゃんも元気よ。入院して陣痛が起こるのを待ちましょう。破水してるから陣痛がなかなか起こらないときは促進剤を使うことになるかもしれないけど……」
「はい、わかってます」
それは検診のときに聞いている。
破水して卵膜が破れてしまっているので、あまり長くかかると赤ちゃんに感染症の心配があるから促進剤を選択するかもしれないと。
「ご家族は?」
「主人には連絡してあります」
「そう。それじゃあすぐに来てくれるかな?」