身ごもり政略結婚
「実はうちの両親も顔を出したんだ」
「えっ……」
心臓がドクドクと音を立て始める。
やはり男の子でなかったことに落胆しているだろうか。
「もう、デレデレ。特にお袋なんて『愛結ちゃーん』って鼻の下が伸びてた。『なんでも欲しいおもちゃを買ってあげるからね』だってさ。わがままになるから勝手にはやめてくれって言っておいたけど」
「お義母さまが?」
「こんなかわいい天使が産まれてきて、デレデレにならないわけがないだろ? お袋、きっと反省してると思う。ごめんな、結衣」
改めて謝られて首を横に振る。
愛結が歓迎してもらえるなら、もう過去のことなんてどうでもいい。
「過保護なおじいちゃんとおばあちゃんだらけで、うれしいです」
「うん。結衣の体が回復したら、一度皆で飯を食おう」
「はい」
彼が病室まで両親を連れてこないのは、まだ私の体が万全ではなく、慣れない育児に疲れきっていることがわかっているからだろう。
そんな配慮までしてくれる素敵な旦那さまとの間に、こんなにかわいい天使が産まれてくれて、最高に幸せだった。