身ごもり政略結婚
愛結は成長がゆっくり目で、検診に行っても成長曲線の一番下をなぞっているような状態だけどしっかり大きくはなっていて、先生の『順調に成長してます』という言葉以外の余計な情報に振り回されないように気をつけている。
これが愛結の個性だから。
そう思わせてくれたのは大雅さんだ。
「愛結、行ってきます。ほっぺにチューは?」
玄関まで見送りに出ると、彼は愛結を抱いて行ってきますのキスをねだっている。
それなのに、彼女にペチペチと頬を叩かれて顔をしかめた。
「それはないだろ。まあ、そうだよな。俺の奥さんは結衣だもんな」
「えっ」
突然私に話を振ってきたと思ったら、あっという間に唇が重なった。
「ちょっ、愛結の前で!」
「いいじゃないか。ママとパパが愛しあってるんだぞって、ちゃんと教えておかないと」
そんなこと言ったって、愛結が話せるようになってお友達の前で私たちのキスのことをペラペラ話したら恥ずかしいでしょ?