身ごもり政略結婚

「そうだね」


同意しているお義父さまは、さすがエール・ダンジュの社長。
立ち姿は凛々しく、風格が漂っている。


でも、『孫』のことばかり言及されては戸惑いもある。

須藤さんは跡継ぎを求められていると言っていたがそれは本当らしく、初めての顔合わせのときから何度も口にされた。

そのために結婚するようなものなので、それなりに覚悟はしている。
けれども、あまりにせっつかれるとプレッシャーにも感じる。


「子供は授かりものですから」


私の戸惑いに気づいたのか、須藤さんが口を挟んで止めた。



挙式、そして披露宴と大仕事を終えた私は、須藤さんの住むマンションに向かった。

彼は両親とは一緒に住んでおらず、立派すぎるタワーマンションの五十一階が住居なのだ。

引っ越し作業のときにすでに訪れたけれど、4LDKの部屋は恐ろしいほど広く、リビングだけでも軽く四、五十畳はある。
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