身ごもり政略結婚

それから三カ月。

大雅さんとの新婚生活は淡々とした毎日の繰り返し。
必要な会話はするが、それ以外はあまりない。

子供を望んでいるので時々体を交えるものの、それ以外は新婚のイチャイチャのようなものとは程遠かった。

でも、政略結婚なのだからこんなものだろうとあきらめている。


ただ私としては、せっかく夫婦になったのだから心を通わせたい。
これからずっと一緒に生きていく人とよそよそしいままなのは耐えられない。

だから努めて明るく振る舞っていた。


「大雅さん、朝です。起きてください」


彼は朝が苦手で、毎朝起こすのに苦労している。

麻井さんたちの前での専務としての毅然とした姿からは想像できないが、他の人は知らないだろう素の姿を見られる妻という立場も悪くない。


「あと五分」
「さっきもそう言いましたよ。麻井さんが迎えに来ます」


今日は取引先に直行すると言っていたはずだ。
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