身ごもり政略結婚

「はぁー」


大きなため息をつきながら渋々起きた彼は、しばらくボーッとするのが習慣になっている。

少し子供っぽい彼の姿に笑みをこぼしながら、キッチンに戻って朝食の準備を進めた。


大雅さんは軽くシャワーを浴びて目を覚ますと、一転凛々しい大人の雰囲気を取り戻す。

どうやら結婚するまでろくな朝食をとっていなかったらしく、朝は小食。
そんな彼が心配で、毎朝しっかり準備する。


洋菓子を扱う会社の御曹司のくせして、千歳の和菓子が好きなように家での食事も和食を好む。

それも取引先の接待では洋食ばかりだからのようだ。


しばらくして、シャツに着替えてはいるもののまだ髪から水滴を滴らせた彼がリビングにやってきた。

きちんと着込んだスーツ姿はまったく隙がなく非のつけどころがないけれど、こうしてちょっと気を抜いている姿にもドキドキする。
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