身ごもり政略結婚
緊張しながら検査をすると判定の窓に線が現れ、胸がざわざわと音を立てる。
「妊娠、してる?」
私は自分のお腹を押さえて唖然とする。
妊娠を希望してそういう行為をしているのだから、もちろん医学的には不思議じゃない。
でも、自分の子のお腹に赤ちゃんがいるなんて、夢でも見ているかのようだ。
もっと喜びがこみ上げてくるものだと思っていたけれど、信じられないという気持ちが強くてしばし呆然とする。
「大丈夫かな、私」
とはいえ、じわじわとうれしさもこみ上げてきて、頬が緩む。
「赤ちゃん」
小声でお腹に呼びかける。
するとたちまち愛おしさに包まれるから不思議。
「元気に育つんだよ」
私はこの命を大切にしようと誓った。
今夜は大雅さんの夕食の準備がいらないので、私はそれからずっとベッドにいた。
つわりがこんなに早く始まるものなのかどうかよくわからないが、まったく食欲がない。