緑の風と小さな光 第2部
ピアリはヒターラの男に駆け寄り、声をかけた。

「ねぇ、一緒に歌ってもいい?」

「ああ。いいよ。」

男は少し驚きながらも頷いた。

ヒターラに合わせてピアリは歌い始めた。

ピアリはウンディーネの血を引いているせいか、特別に歌が上手い。

美しく響く歌声に人々が集まって来た。

一緒に手を叩いたり、身体でリズムを取ったり、声を合わせたり…。小さなライブになった。

「やっぱり音楽はいいねぇ。」

「お嬢さん、綺麗な声だね。」

みんなに頼まれてピアリはもう一曲歌った。

その盛り上がりを、軍服姿の騎馬の男達が少し離れた所から眺めていた。

歌が終わったところで、その内の1人が馬に乗ったまま近づいて来てピアリに声をかけた。

「そこのお嬢さん。」

「…私?」

「そう。素晴らしい歌でした。」

「ありがとうございます。」

「お名前は?」

「ピアリと言います。」

「ピアリ…小さな光…名前も素敵ですね。」

「あなたは?」

「私はスヴィア様に仕える者です。」

人々はざわめき、波が引くように後ずさった。

「スヴィア!?」

エルグとセレも驚いた。

ピアリは何故みんなが驚いているのか解らない。
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