緑の風と小さな光 第2部
「それはまた遠い所から…。なぜ離れて暮らしているのか知りませんが、そこまでしても会いたいですか?」

「当たり前よ。お母さんよ。」

「…そういうものですか…」

エイダは無表情だった。

「あなたのお母さんは?」

「城に近い所に住んでいます。無事でいるとは思いますが。」

「会いに行かないの?」

「必要がありません。」

ピアリは驚いた。

「必要があるとか無いとか、そういう事ではないでしょう。ただ会いたいって気持ちは無いの?」

「…会いたい…?そういえば、昔はそう思っていました…」

エイダは、いつから自分はこんなに感情が動かなくなったのだろう、と思った。

…あの薬を飲んでから…?だとするとスヴィア様も…

「…何かあったの?」

「もしかしたら、あの時の薬が…」

そう言いかけた時、にわかに外が騒がしくなった。

ピアリのペンダントが光った。

「セレが来たんだわ。」

その言葉が終わらぬ内にセレがドアを開けて入って来た。

外にいた警護の者達は魔法で動けなくしてある。

「ピアリ!」

エイダの周りの男達が立ち上がったが、エイダはそれを制した。

「食事中です。静かにしなさい。」
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