緑の風と小さな光 第2部
セレ達には予想外の場面だった。

「何だ…美味《うま》そうな物、食ってるじゃないか。」

エルグが言った。

「君達も良かったら、どうぞ。」

「ああ!有り難い!」

エルグはすぐに席について素直に食べ始めた。

「君は?」

セレはまだ警戒して、立ったままだった。

「いや、俺は結構。」

「そうですか。まあ座りなさい。」

ピアリは果物を食べていた。

「セレ、このフルーツとっても美味しいわ。せっかくだからいただいたら?」

「ピアリ、何もされなかったか?」

とりあえずセレも腰を下ろした。

「ええ。親切にしてもらってるわ。」

「……」

自由を奪われて苦しい思いをしているのでは、と心配していたのだが、ピアリはむしろ楽しそうだった。

「セレ、私はこの人達と一緒にスヴィアという人の所に行こうと思うの。」

「何を言ってるんだ!?」

セレは驚いた。

「この人達は悪い人ではないと思うわ。」

「スヴィアというのは独裁者ではないのか?」

セレは単刀直入に訊いた。

「…独裁者…そうかもしれませんが、独裁は必ずしも悪とは言えませんよ。」

無表情のままエイダは答え、逆に問いただした。
< 28 / 43 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop