緑の風と小さな光 第2部
…『竜のルビー』は本来なら固体のはずだ。最後の魔法をかけていなかったのだな…とセレは思った。


『これを飲めば、誰でもあなたの言うことをきくようになりますよ』

と魔法商に言われて、国王は試してみようという気になった。

「毒見役の私が、最初に一口飲んだのです。」

エイダが言った。

「毒ではない事は判りました。効力はどれ程なのか、手下の者に無茶な命令をしてみました。」

獰猛な肉食魚のいる川で泳いでみろ、と命じた。

その者は、何の躊躇も無く川に入った。

「何も無い内に止めましたが、彼の様子を見て,これは凄いと思いました。」


そして、国王は残りの液体を飲み干した。


「みんな私の命令に従ってくれた。面白いようにな…だが…」

一部の政務官には竜のルビーが効かなかった。

「セレといったな。『竜のルビー』の効力は魔法使いだろうが関係無いはずだ。何故お前には効かない?」

エイダが訊いた。

「魔法書によれば『竜の身体の一部を体内に取り入れた事がある者』には効き目が無い、とある。」

セレは

「自分は竜の血を飲んだ事がある。」

と話した。
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