緑の風と小さな光 第2部
心のある者ならば、そんなやり方が上手く行くはずは無い、とすぐに判る。

しかし、スヴィアにはもう心は無かった。

『必要か不必要か』『効率が良いか悪いか』

そんな事だけを、まるで機械の様に計算して物事を判断する。

感情を無視して人間を治める事など出来はしない、という事がわからない。


エルグ達が城に押し入った時、竜のルビーの力を立て続けに使ったスヴィアは動けなくなっていた。

政務官は、彼を置き去りにして逃げ去っていた。

「お前達に捕まった時は、さすがにもう終わりだと思ったよ。…だが、お前は私を助けてくれた。」

エルグの仲間は、自分達を苦しめ続けるスヴィアを殺そうとした。

しかし、エルグは、弱ったスヴィアが目の前で殺されるのを黙って見ていられなかった。

仲間の1人が振り下ろした剣を止めてしまった。

「…後々とんでもない事になるとは思ったんだが…」

その一瞬の隙に、エイダの『竜のルビー』の力と、軍人の反撃に遭った。

エルグ達は逃げ切ったが、何人かは命を落とした。

「その時にやられてしまった内の1人が、マーラの父親だよ…」

結局、国は何も変わらなかった。奴隷制もそのままだった。
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