緑の風と小さな光 第2部
…フィズの力を借りてヴァシュロークがセレの心臓に手術を施し、今は健康になっている事…

…フィズを託す為にセレに試練を課した事…

そしてセレが430年間フィズを守り、生き抜かなければならない事も…

話しを聞いている内に、ヤールの顔が段々と険しくなって行く事にタリヤは気付いた。

ローエンが話し終わったところでヤールは吐き出す様に言った。

「…私に話してくれれば良いものを…大体お前達はどうして兄様にばかり重荷を背負わせるんだ…」

「決してそんなつもりでは無いのです。フィズがセレ様を選ぶなど、私達にとっても予想外でした。」

「もしフィズが誰にでも宿るとしても、やはりお前達は最初に兄様を候補にするのではないか?」

「……」

「その重い使命を知った時、兄様は嫌な顔をしなかっただろう?文句を言わずに黙って受け容れただろ?」

「…はい。」

「『セレなら大丈夫』『セレなら受け入れてくれる』『セレなら耐えられる』…そう思っていないか?」

「…それは…そうかもしれません…」

「兄様を何だと思っているんだ…何でも平気だとでも…?とんでもない…」

ヤールは、幼い頃の記憶を話し始めた。
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