星野くんとの朝時間
教科書を出す途中でぽかんと止まっていた私は、あわててカバンの中で古典のノートを捜索した。

「は、はい。古典、古典・・・・・・っ」

あわてて取り出したノートは端が曲がっていて、逆さ向きに折り曲げて折り目をのばす。

「はいっ」

さし出すと、星野くんはメガネを少しずらしながらノートを見比べ始めた。


「ありがとう。大丈夫だった。本條さん、ノート、すごいきれいだね」


「え?あ、ありがとう。ペンできれいに書くの、好きなんだ」


昨日よりは落ち着いてしゃべれている、と思う。


「へぇー、じゃあ、リーダーもいい?」


「あ、うん、いいけど、ちょっと自信ないかも」


「いいよ、俺のほうが自信ないって」


そう言って、星野くんはメガネの奥で笑った。

他愛ない会話をしていると、昨日と同じように星野くんグループの八坂くん達が登校してきた。

星野くんは席を立つと言った。

「また、明日ね」

そう言って手を振る。
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