ガラスの靴は、返品不可!? 【後編】

怖いんだ。
彼から直接、決定的な言葉を、言われてしまうんじゃないかって。

君には飽きた。
あるいは、シンガポールに行くことにした。

だからもう、終わりにしよう。


そんな……ごまかしのきかない、決定的な……別れの言葉。

でも。
いつまでも、うやむやにしてはおけない。怯えてちゃだめだ。

シルクのパジャマ越し、お腹を撫でる。

キミのためにも、きちんとしなくちゃね。


こくっと唾を飲み込んで携帯を取り上げ。
画面をタップした。


RRRRR……

呼び出し音は、なかなか途切れない。

そばにいないのかな。
忙しいのかもしれない。
留守電にならないかな、メッセージだけでも――と、思った次の瞬間。
音が途切れ。


『はーい』


女性の声がした。

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