ガラスの靴は、返品不可!? 【後編】

『誤解しないで。君と話したくないってことじゃないんだ。そうじゃなくて……ただ、さっきみたいに、誰かが勝手に電話を取る可能性だってあるだろ? 周りで誰が何を聞いてるかわからないし』

聞かれちゃ困るの? 私との会話を。
そういうこと?

『飛鳥? 聞いてる?』

「……聞いて、る」

『じゃあ、また。……愛してるよ』


プツ……ツーツー……

私をあざ笑うみたいに流れる、機械的な音を聞きながら。
ふらふらと、後ろへ倒れこんだ。
キングサイズのベッドへ手足を伸ばして、天井を見上げる。


「はは、は……」

乾いた笑い声が、寝室の空気に紛れて消えた。


愛してるよ?

今この状況で。
それを一体誰が、本気にするっていうんだろう。

ねえライアン。
私にその言葉を、信じろっていうの?
私をそんなに強い女だと思ってるの?


もうあなたが、わからないよ……

腕をクロスして視界を覆って。
ぎゅうっと唇を噛んだ。

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