ガラスの靴は、返品不可!? 【後編】

「今はまずいんだよ。ほら早くっ――」


ざわっ……――


後方で、歓声のような声が響いた。


「早く行けって!」

焦ったような声がせかすけど、ざわめきは大きくなるばかり。
誰かが会議室から出てきたみたいだ。

「ねえ、誰か来てるの?」

「あぁそうだよ、雑誌のインタビュー。どっかのバカが、うちの会議室使ってください、とか編集に安請け合いしやがったんだよ」

忌々し気な声の合間に、パシャパシャってシャッター音が聞こえた。
よっぽどの有名人かな。

「ふぅん、一体誰が……」

坂田が私の視界をブロックするみたいに立ちはだかるから、逆に気になってしまうじゃない。
えいっとフェイントをかけて、後ろを覗き込んだ。


え――……



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