ガラスの靴は、返品不可!? 【後編】
くすくす、バカにしたみたいに嘲る彼女に、何か言い返そうにも――波のように次々と突き上げる不快さで、それどころじゃなかった。
「…………っ」
気持ち悪い……
「わたしは気にしないわ。わたしも束縛って嫌いだし。それに今は、彼より欲しいものがあるから」
脂汗をにじませる私に気づかず、「聞きたい?」って、シンシアはさらに顔を寄せてきた。
そして、にんまりと打ち明けた――「彼との子どもよ」。
「……は?」
浅い息を吐きながら、なんとか目線を持ち上げる。
「わたしは28、彼は31でしょ。年齢的にもちょうど良い頃だし」
なにを、言ってるの。彼女は、何を……
ガンガン頭が痛み出して、考えがまとまらない。
「さぞ美しくて賢い子どもが生まれると思わない?」
「っ……」
「あなたも早く次の相手、探した方がいいわよ。あなたの場合、年齢的に出産はどんどん厳しくなるでしょうし?」
憐れむような視線を向けられて、目尻に涙が滲んだ。
違う。
私には、私たちには、もうこの子がいる。