ガラスの靴は、返品不可!? 【後編】
感覚のない指で、浮かんだ汗をぬぐう。
しょうがないわよ。
彼女は外国人だから、このマークの意味を知らなくて当然だ。
構わず、散らばったものを片づけようとかがみこもうとして……
限界が近いことを感じ取る。
嫌だ。
こんな大勢の前で、ううん、彼女の前で、かっこ悪いところなんて見せたくない。
手の甲をきつく口元に押し付けて、襲ってくる不快感を懸命に押し戻した。
でももう……無理かも――
ギュッと目を閉じた、瞬間。
「Hey darling, my dear」
聴こえた声に、全身が戦慄いた。