ガラスの靴は、返品不可!? 【後編】

前触れもなく、イキナリの直球。

「っほっげほげほっ……!」
盛大にむせ込んだ。

「あぁ悪い。驚かせてしまったかな」

「いえ、っけほっ……ごほっ……」
とんとん胸を叩きながら、呼吸を整え。

彼の視線が、手の中のマタニティマークに注がれていることに気づいて、「あ」と声が漏れた。
そういえば、お茶もノンカフェインって……

「す、すみません。ご報告が遅くなりまして……」
「いやいや、おめでとう」

鷹揚に笑った大河原さんは、視線を前へ向けた。

「彼が君に夢中だってことは知ってたからね。近い将来そういうことになるだろうと、思っていたよ」

夢中?
唇に、うす笑いが浮かんだ。

「……彼はもう、私に興味なんてないみたいですけど」

声に滲む寂しさは、隠しようがなかった。



「それはどうかな」



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