ガラスの靴は、返品不可!? 【後編】
車の影に隠れながら歩いていると、
なんだかスパイの真似事をしているような気がして、ドキドキしてしまう。
足がもつれないように気を付けながら、後を追う。
裏門から出ていくだけ、かもしれない。
それならそれでいい。
謎が一つ解消するだけでもすっきりする。
自分に言い聞かせ、彼の後から建物の角を曲がった――……
「あれ?」
そこには誰も、いなかった。
今、曲がったばかり、よね?
でも裏門を出ていくような、後ろ姿も見えない。
とすると……選択肢は一つだ。
裏口から、中に入った。
つまり彼は、病院の職員だった、ということだろう。
じゃあニセ秘書も、同じっていう可能性は――
「そこで何をしてるの?」