ガラスの靴は、返品不可!? 【後編】
詰問するような鋭い女性の声がして。
悲鳴をあげそうになった口を、両手でギュッと押さえた。
恐る恐る振り返ると、私より少し若め、20代後半くらいの女性が、胡散臭そうな視線を寄越してる。私服姿だから……出勤前のナースさん、とか?
完全に不審者を見る目つきで見られて、狼狽える。
「あ、いえ……ええと道に、迷ってしまって……」
私はとことん、探偵には向いてないらしい。
冷や汗をかきながら、もごもご言い逃れようとしていると。
女性が「あっ!」と叫んで、いきなり破顔した。
「あなた、あの時の人ですよね!」
「……え?」
パチパチ、瞬きしながら彼女を見返す。
知り合い、だったっけ。
産科のナースさん、じゃないと思うけど……
首を傾げる私へ、女性がニコニコと笑った。
「おばあちゃんを助けてくれたでしょう。ほら、外で倒れてるんですって、駆け込んできて」
「あぁ!」