ガラスの靴は、返品不可!? 【後編】
迷路のように入り組んだ通路沿い、ずらっと並んだブースを冷やかして進みながら……
どうしても、思考は掴んだばかりの新事実へ飛んでしまう。
VIPルームに長期入院中の女性社長。
おそらくその人が、ニセ秘書の雇い主だ。
リーズグループを調べてる時、確か何人か、女性社長の名前を見かけた気がする。限られた人数だし……後はリー総帥との関係性を調べれば、特定することは可能なんじゃないかな。
早くライアンにそのことを伝えたい。
でも、問題は伝え方だ。
シンシアは帰国したけど、警戒すべきが彼女だけなのか、
私にはわからない。
電話やメール、ラインも……
――申し訳ないけど、こっちからかけるまで、電話もしないでほしいんだ。
――誰かが勝手に電話を取る可能性だってあるだろ? 周りで誰が何を聞いてるかわからないし。
ライアンがああ言ってたってことは。
ひょっとすると、誰かに見張られてるってことかもしれない。
迂闊なことをして、彼の努力を無駄にしたくないし――……