ガラスの靴は、返品不可!? 【後編】
「あ、あの……お伝えするのが遅くなりまして、すみません。実は……その」
こういう場合、どんな風に言えばいいんだろう?
変に気を回すのも、よくないよね?
ええと……
しどろもどろで言葉を選んでいたら――
「おめでとう!」
嬉しそうな声がして。
顔を上げると、柴田さんが興奮したように目をキラキラさせ、私を見つめていた。
「……あの、ありがとう、ございます」
「何よ真杉さん、おめでたいことなのに、そんな困ったみたいな……あ、もしかして私に遠慮してるの? あんな話しちゃったから?」
さばさばとした笑い声をあげながら、「やあね」と柴田さんは言った。
「真杉さんにも言ったでしょ? 私は今の自分に満足してるって」
「えっと……はい」
「だからほんとに気にしないで。まぁ親バカ全開はちょっと勘弁してって思うけど」
悪戯っぽい表情とおどけたような口調につられて、ようやく緊張が解けた。