ガラスの靴は、返品不可!? 【後編】
「え」
今度は私の方が言葉を失ってしまう番。
でも……そういえば。
いつだったか、ねだられてライアンの写真、見せたことあったっけ……
諸々の報道、一体どういう気持ちで聞いていただろうかと、冷や汗が滲む思いだった。
「本当に彼が報道されてるような女ったらしだったら、私も反対するけど。でも、なんだか違うような気がして。あくまで、あなたの話から私が受けた印象、だけどね。だから」
柴田さんが、私を諭すように覗き込んだ。
「お腹の赤ちゃんのためにも、ちゃんと話し合った方がいいわ。まだ好きなんでしょう?」
これも、持って行って。
と、続けて渡されたのはスポンサーズパス。
「これがあれば、控室にも入れてもらえるはずだから。ショーの後、話せると思う」
胸の奥が、明かりを灯したように温かくなる。
これを渡すために一生懸命私のこと探してくれてたんだ、ってわかったから。
彼女らしくもなく、走り回って。
どうしよう。
私の周り、素敵な人が多すぎだ――……
こみ上げる熱をぐっとこらえて、顔を上げた。
「お気持ちは嬉しいんですが、これは受け取れないんです。その代わり、柴田さんにお願いしたいことがあって――」