ガラスの靴は、返品不可!? 【後編】

「うまく会えたかなぁ」


柴田さんにライアンへの手紙を託した後、クライアント各企業のブースへ顔を出し、挨拶をすませた私は。

家族連れで大盛況の休憩コーナー、その片隅に座って彼女からの連絡を待っている。

――これを彼に直接、渡していただけないでしょうか。

そう言うと、なぜ自分で渡さないのかと最初はかなり不満そうだったけど。
ちょっと事情があって今は会えないのだと押し通して、なんとか承知してもらった。

ほんとは、もちろん会いたい……けど。

吐息をついて腕時計を確認する。
そろそろショーも終わる頃だ。

手紙が上手くライアンの手に渡りますように。

終了時間まではまだ時間あるし、ラムちゃんと合流してブースを回った方がいいんだけど。
柴田さんからの連絡がないか心配で、気持ちにそれだけの余裕がない。
ごめんね、ラムちゃん。

賑やかに走り回る子どもたち、そのパパやママたちを遠目に眺めながら、ジリジリと時間は過ぎるのを待ち――……


BBBBB……

ついにテーブル上に置いていた携帯がガタガタ音を立て、ビクッと肩が跳ねた。


着信だ。柴田さんから!

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