ガラスの靴は、返品不可!? 【後編】
「ごごご、ごめんなさい。なんか柴田さん、誤解してるみたいで」
私の頼み方が悪かったんだ。
あぁもう、なんでこんなことに……
余計なことしちゃったかも、と気まずい思いで身体を小さくする私へ。
「……いや、よかったよ。君が無事で」
ライアンも事情を察したらしく、ようやく緊張が解けた口調で言う。
そろりと目線を持ち上げると。
抱きあげられているせいで驚くほど近くに翡翠の瞳があって、無意識にこくりと息を飲んだ。
この距離は……まずい。
「お、下ろしてくれる? 私はどこも、なんともないし」
「あ、あぁ……そうだね」
ぎくしゃくと床に降りて。
頼りない足取りのまま、彼から一歩二歩、距離を取った。
触れたい。
キスしたい。
抱き着きたい……
でも今は、我慢我慢。
そんなことしたら、離れられなくなる。
一人になるのが、もっと辛くなる。