ガラスの靴は、返品不可!? 【後編】
ともかくまず、その人物をつきとめないと、と強い口調が言った。
「シンシアの後援企業の中に、リーズグループ関連の所はないんだ。だから個人的なつながりだと思うんだけど。なかなか接触する様子がなくてね」
ただでさえ彼女はパーティーなどのイベントが好きで、夜遊びも常態化してる。
目を光らせるのは容易じゃなく、特定には至っていないのだと言う。
「シンシアが帰国してしまって、直接見張れないのは惜しいけど。逆に言えば身軽に動けるってことだからね。今後は総帥側から攻めてみるよ」
そして彼は、リーズメディカル、リーズホテルズジャパン、リーズニッポンの名前を挙げた。
総帥に近く、かつ日本に本社を置くこの3社を、彼と伊藤くんは前からマークしていたと聞いて、密かに、にんまりした。
私の方向性も、あながち間違ってはいなかったらしい。
「ライアン」
「ん?」
彼のサポートができるかもしれないことに胸を弾ませつつ、キョロキョロとあの手紙を探し――あぁ、あった!
ドア際に落ちていたそれを拾い上げる。
「これ! あの、これに書いたんだけど……実はね――……」