ガラスの靴は、返品不可!? 【後編】

素材にこだわった手作りのアイテムを並べているというこのお店は、ネット上でも話題になってるらしく、店内は女性客でいっぱいだ。
中には、私と同じようにマタニティマークをつけてる人もいる。

前は気にしたことなかったけど……こういう時、夫婦の連携ってすごく大事なんだな。

優羽ちゃんを店の外で見ててくれる拓巳さんに、大いに感謝だ。

ライアンは、イクメンに……なるかなぁ。
あの心配っぷりだと、過保護なパパになりそうだけど。


愛らしく首を傾げるウサギのぬいぐるみを、つんとつつく。

……急に来日した友達って誰だろう。
男性? それとも、女性ってことは……あるかな。

どんな人、かな。


「……ちゃん、飛鳥ちゃん?」
「っは、はいっ?」

我に返って振り返ると、奈央さんがガラガラを手に、心配そうにこっちを見ていた。

「気分悪い? あっちに椅子あるから、座ろうか」

「いえっ大丈夫です」
慌てて首と手とを振ると、黒目がちな瞳がくるりと私を見た。

「ほんとに?」
「ほんとですよ。あ、それ、可愛いですね! それにしよっかな」

ぎこちない笑みを作って、わざとらしく話題転換する。
奈央さんはまだ、微妙な顔だったけど……何を考えていたかは、話せなかった。

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