ガラスの靴は、返品不可!? 【後編】

そして周りの目を気にすることなく、自然に話しかけた。

「拓巳ごめんね? 優羽のこと、見ててくれてありがとう」

「あれ、奈央さん早かったね」

アーモンドアイを甘く緩ませる拓巳さんに、みんなざわついてるけど。
本人たちは、全然気にしてないみたい。

す、すごいな。

私は未だに、ライアンと一緒に注目を浴びることに慣れなくて、オタオタしちゃうのに。
何かコツでもあるんだろうか――

ぼんやり考えていたら、
「プレゼントは無事買えたんですか?」って拓巳さんの声。

急いで私も近づいた。
「はい、すみませんでした。奈央さんお借りしちゃって。優羽ちゃんも、ごめんね」
「いえいえ全然。優羽もイイコにしてたよな?」

大人たちに注目された優羽ちゃんは、一瞬きょとんとしてから、にぱっと笑顔。まったく憶することなく「あいっ!」と元気よくバンザイした。


……きゅぅうん。


なに、この胸のトキメキは。
この笑顔のためなら、なんだってできそうな気がする、みたいな。

こ、これがもしや、母性ってやつだろうか。

「子どもって天使ですね……明日にでも産まれてほしい」
身悶えて言うと、拓巳さんと奈央さんがどっと笑った。

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