ガラスの靴は、返品不可!? 【後編】


「気が狂うかと思った――欲しくてたまらなくて」


劣情に歪んだ掠れ声で告げられて、ずくんと腰の奥が蠢く。


「少しでも痛かったり、おかしいと思ったら、すぐに言うんだよ?」

止められなかったらごめん。
嘘とも冗談ともつかない口調で言い、甘い甘い口づけをくれる。

それが、合図だった。
長い長い夜の始まりの。


「……ん、っ……」

むしゃぶりつくような、激しさはない。

お互いのすべてを感じて、味わいつくすみたいな、
ねっとりと絡みつく、濃厚なキス。

薄く開けた視界には、雄の光を宿した危うい眼差しが見え隠れして――私の中、秘めた欲望を煽っていく。

巧みな彼の手に、次々と着ていたものが脱がされ。
一糸まとわぬ姿になって……


「や、やめっ……!」


足の先に口づけられて、悲鳴が漏れた。

「気持ちよくない?」

気持ちいい。
いいけどっ……

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