ガラスの靴は、返品不可!? 【後編】
<僕はその時、屋敷内のある場所にいました。黄の私室の奥、小さな隠し部屋です。その部屋の主は、数羽の小鳥でした>
鳥の鳴き声を競わせる鳴き合わせが趣味だった黄は、その部屋でお気に入りの何羽かを飼っていて。
世話を任されていた僕は、火が放たれたと知った時、小鳥たちを逃がすためにその場所へ来ていた。
窓を開けて、そこからすべてを空へと放って。
さぁ次は自分が逃げなければと、振り返った時だった。
<黄が駆けこんできました。奥の部屋にいる僕に気づかず、武器庫を探り始めた>
小鳥を逃がしてしまったことがバレたら、きっとひどくぶたれるだろう。
黄の残忍な性格がわかっていたから、僕は出ていくことができなくて。
ドアを細く開け、早く黄が行ってくれないかと息をひそめていた。
<武器を夢中で確認していた彼は、気づきませんでした。背後の壁板、その中の一枚が音もなくスライドし、ぽっかりと穴をあけたことに>
それは、その部屋から外に通じる抜け道の入口だった。
僕は味方が迎えに来たのだと思い、胸をなでおろした。
でもそれは、間違いだった。