ガラスの靴は、返品不可!? 【後編】

<入ってきたのは、黒っぽい服を着た中肉中背の男。アジア人のようでした。男は背を向けたままの黄へ銃口を向けた>


一発の銃声。


それは邸内の混乱に吸い込まれ、誰にも気づかれなかった。

急所を外していたのだろう。
黄は血濡れた脇腹を押さえながら倒れ込み、もだえ苦しんだ。

男は歩み寄ると、二言三言、会話を交わし、そして。


パン――


二発目も、誰にも気づかれることはなかった。

黄は這いつくばりながら、なおも男に向かって何かを訴えているようだったけれど。


やがて……力なく崩れ落ち。
それきり動かなくなった。


<仕事を終えたその男は、室内を見渡し……確かに僕を見た。その時、ようやく理解できたんです。自分は、利用されていたのだと>


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