ガラスの靴は、返品不可!? 【後編】
『彼女を守れるくらい、強くなれ』
「っ……」
『誰も不満なんて言えないくらい、押しも押されもしない存在になってみろ。そうすれば、彼女に手を出すなんてバカげたこと、誰も考えなくなるさ』
携帯を握り締める手に、自然と力が入っていた。
つまり、僕次第ということか。
彼女を守れるか、失うか……
『それでも、もし』
少しだけ、電話の向こうの声が和らいだ。
『万が一何か起こって、お前が道を踏み外すようなことがあったら、その時はオレがぶん殴って止めてやるよ』
「拓巳……」
『お前なんて3秒でダウン。楽勝だな』
「3秒は……さすがにないだろ」
声が震えたこと、気づかれただろうか。
こいつはいつだって……
『ライアン』
「ん?」
『お前は、一人じゃない。忘れるな』